そこにあるのは女の子には理解しがたい世界…。



何がそんなに楽しいのかわからないけど、きっと男の子には楽しい世界。



男の子からみたら女子の話題も何が楽しいのかわからないんだろうけど、私が女の子である以上その話はできない。






私が特にわからない子が一人いる。

今年初めてクラスが一緒になり、何故か私と仲良くなった男の子。

行動の意味不明さはたぶんトップ。

こないだは教室のからだった棚に、体をまるめて入り黒いはずの学ランを埃で白にしていた。

その前は黒板消しを持って友達を追い回し、結果自分にチョークの粉が降りかかり黒いはずの学ランをチョークで…以下略。

もう少し前は、運動場で走り回ってスライディングを決め、黒いはずの学ランを…以下略。





とりあえずその子の日常はじゃれ合う→じゃれ合う→じゃれ合う。

ずっと仲のいい男子と遊んでいる。

同じぐらいの身長の子と遊んでいた3分後に、身長差約15センチの子と遊んでいる。

もしかしたら動くのをやめると死んじゃうとか、そういう種の生物なのか、あの子は…そんな冗談さえ浮かぶ。




とにかくずーっと走り回って、じゃれ合って、汚れまくってる。
私にはぜんっっっっぜんわからない世界だよ。




そんなあの子だけど、私はすごく好きだった。
恋愛感情というわけじゃなくて、友達として。




優しい人だった。




ちょっと心配性なくらいに。




学校ではわけのわからない話で盛り上がるばかりだったけど、家に帰ってからメールで話を聞いてくれたりした。

同情するわけでも無く、ホントのあの子の考えが返信されてくるのがうれしかった。

そんな優しい子。







大好きだよ…。








雪が降った。



白くなった運動場は男の子の恰好の遊び場。

もちろんあの子は先頭きって遊んでいる。

そんな光景を微笑ましく見ていた、老人臭い私。

運動場にあの子の姿が見えなくなった。

別にずっと目で追ってたわけじゃなかったけれど、突然いなくなった。






と思ったら。






私のところへきた。


「見てこれ!雪だるま!!ひっさしぶりに作ったぁ〜!!これあげる、じゃね!」

なんて満足そうな笑顔…。

その3秒後には彼は雪合戦に戻っていた。


雪合戦を放り出して作った小さな雪だるま。

溶けて無くなるプレゼント。




そんな儚いものだとしても、私にください。




あなたの遊びたい時間を少しだけ私に分けてください。




なんてね。







雪が降った今日。

私たちの卒業がより一層近付いた気がした。


別々の道に行ってしまえば、思い出もそのうち消える。





さぁ、思い出が思い出であれる時間にタイムリミットがやってくる。





私は少しでも近付きたい。





他の人には理解できない、あなたの世界へ。



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