雨の日は気分がノらない。

靴や服は濡れるし、髪も広がる。

女の子の敵だよ、雨なんてさ。






〜雨のちナミダ〜






なのになんで私の名前は“美雨(みさめ)”なの?


梅雨の時期に生まれたからって…。




雨の日は、太陽が恋しくなる。

私もそう。

私は6月生まれの“雨”だから、“陽”が恋しくなる。



「美雨、おはよ」

この声を聞くと少し気持ちが晴れる。

「おはよ、陽(はる)」

4月の快晴の日に生まれた(らしい…)“陽”。

性格もホントに漢字の通りだった。




…大好きだよ、陽。




ねぇ、陽は私の気持ちに気付いてる?






今日もまた雨。

今は8月、梅雨はとっくに明けているのに。

こんな雨なのに、私は家の庭で傘をさして一人。

アレグロぐらいのテンポで、8分音符を刻む雨の音。


その中でずっと陽のことを考えている。




「美雨!!」


ほら、考えすぎて幻聴が…。




「みぃーさぁーめぇーー!!!」




あれ、本物がいる?!

「どうしたの、陽」

「いや、たまたま姿が見えたから…ってか何してんの?」

「んー…瞑想?」

「わけわかんねぇ…」



こんなバカらしい会話、それでも嬉しい。






「…私、雨、嫌い」

会話の途中で突然こんな発言。

自分でもなんで言ったのかよくわからなかった。

「そうかなぁ、俺は好きだけど?」

「なんでー?」




「だって雨見ると…美雨を思い出す」




「・・・」




リアクションもとれないくらい、驚いた。

「だから俺は大好きだよ、雨も美雨も」

いつの間にか、傘に当たる雨の音は消えていた。


空には眩しい太陽。

雨の後は晴れ、ではなく私のナミダ。







たぶん私が6月生まれの“雨”なのは、暖かい“陽”に包まれるため。













・・・・・・・・・・あとがき・・・・・・・・・・
“あまおとがーでん”な感じにしてみたんですが…どうでしょ?笑
一応一周年らしく頑張ったつもりなのですが…。
やっぱりまだまだですねー。(泣

この話は名前をすごい考えました。
雨とか太陽とかそういう意味の漢字を使った名前って、けっこう浮かんで来て。
その中でどれを使おうかなぁ、と考えてたどり着いたのが“美雨”と“陽”でした。
名前を考えるだけでとんでもない時間を費やしたことは、言わない方向で・・・。(笑

ただ、ギャグ要素をもうちょっと入れた話にする予定だったことが心残りです。←




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