―――どこで狂ったかなぁ。
予定が狂い静雄から逃げる羽目となった臨也は、考えていた。
そしてとある路地で黒バイクと一緒にいる光を見つけた。
―――ってことはあいつの差し金か。
2人に声をかけるわけでもなく、臨也はある所へ向かった。
臨也の計画を台無しにしたであろう人物のもとへ。
静かな部屋にチャイムが鳴り響く。
「あぁもうばれちゃったのかな?」
広くきれいなマンションの一室で青年はため息をついた。
高校生が住むには豪勢過ぎる部屋の扉を開ける。
「ようこそ、臨也」
「新羅、お前だろ?」
臨也は不機嫌そうな顔で新羅のマンションを訪ねた。
「…とりあえず中へどうぞ」
臨也がソファに腰掛け、新羅は横のデスクの椅子に座った。
「で、黒バイクとシズちゃんに何を吹き込んだの?」
回りくどい話をすることはなく、臨也は単刀直入に切り込んだ。
「僕は同居人と街談巷説、つまりは世間話をしただけだよ?『静雄の彼女だと勘違いされた子が静雄に対する復讐に巻き込まれてる、って“臨也が”言ってた』ってね」
新羅はわざとらしく臨也の名前を強調して言った。
新羅の同居人である黒バイク――正体はセルティという名のデュラハンなのだが――は臨也のことも静雄のことも知っていたし、光を助けたこともあった。
だから新羅の話を聞いた時、臨也がきっかけとなってたくさんの人が巻き込まれていることをすぐに理解し、静雄を探しに行ったのだ。
―――“光ちゃんが静雄に憧れているらしい”ってことも言ったから、セルティの乙女心に余計に響いたってこと
は言わないでおこう…
結果的に新羅に情報与えられたセルティから話を聞いたおかげで、静雄は臨也の手のひらで踊らされることなく、光も傷つかずに事なきを得ることができた。
新羅は不服そうな顔をしている臨也に切り返した。
「むしろ臨也が何を企んでいたのかを教えてほしいくらいだよ」
「たいしたことじゃなかったんだけどね」
臨也は宙を見つめて今日までのことを思い返した。
「光ちゃんに刺されたらさすがにシズちゃんにも隙ができるだろうからね〜」
「それで?」
「その隙に別に待機してたヤンキーさん達全員で…ばーんっ♪」
「はぁ・・・いくら隙を突くとはいえ、数で静雄に勝てるとでも思ったの?」
笑顔で話し続ける臨也に対し、新羅は呆れ顔だった。
「100パーセントの可能性なんてないから。可能性のある手は全部試してみないとねー」
「ホントに君ってやつは…」
「まぁ他に理由をあげるとすれば」
「まだあるの?」
新羅はさらに呆れて聞いていた。
「シズちゃんの恋愛を邪魔するのも俺の役目かな、と思ってね」
臨也は新羅に向かって満面の笑みを浮かべた。
その表情を見て、新羅はすぐに今回の臨也の計画の本気具合を理解した。
「臨也はどこまでも人間らしいよね、ホントに」
あの日から何年も、何年もたった現在の池袋。
「それは僕もだろ?俺たちの真黒な高校時代なんだから・・・」
白衣を着た新羅と黒いジャケットの臨也は、高校時代のあの頃から大きく変わったようで何も変わっていなのかもしれない。
持ちつ持たれつ、などという良い関係ではないのだが、腐れ縁は続いている。
「新羅、あのさぁ」
「何?」
「あの頃からシズちゃんは気に入らなかったよ」
「また今さらな事を。君たちがお互いを理解する日なんて来来世世こないことはわかってるよ」
臨也の目つきが少し鋭くなった。
そして新羅は臨也にも高校時代を思い出させてしまった事を後悔した。
新羅がため息をつくのと同時にある人物の声が聞こえた。
「ちょうどいいところにいるじゃねぇか…!!」
―――あちゃー、遅かった。
新羅に更なる後悔が募った。
「なんだ、もう来ちゃったんだ、シズちゃん。俺は新羅と思い出話に花を咲かせようと思っていたところだったのにさ」
「お前の都合なんて知らねぇよ!」
平和島静雄は問答無用で臨也に襲いかかろうとしていた。
―――私には本来関係ないんだけどなぁ。
見慣れた光景を前に新羅は考えた。
―――でもセルティが好きな街だからね、とりあえず僕のするべきことは…。
新羅は2人の殺し合いを止められる唯一の方法を求め、一風変わった寿司屋へと向かった。
何年も前から変わらない、池袋という街と、その街に住む人々の関係が今日も続いていた。
・・・・・・・・・・あとがき・・・・・・・・・・という名の言い訳・・・・・・・・・・
ながっ!笑
話は来神組の高校時代ですね。臨也少年のいたずらと失敗です。
最初は原作と相違がないようにとか、筋道が立つようにとかいろいろ気にして書いていたのですが挫折しました。
オリジナルのキャラを出しているのでその時点で無理があった…。
さらにキャラとしてのしゃべり方が定まらないんですよね…。
書き終わってから言っても仕方ないのですが、新羅を書いているのに気づくと口調が福山潤さんになるという怪現象が起こるのです。
読んでいて「新羅ってこんなだっけ?」と思った場合、それは私の頭の中ではもはや福山さんです、ごめんなさい。
そんなこんなで私のデュラララ!!二次小説は、臨也を中心に書いたのに頭が福山さんでいっぱいという結末を迎えました。笑
無駄に長かったこの小説を読んでくださってありがとうございます。
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